SOLO BUSINESS EDITION — PORTFOLIO / KNOWLEDGE / PoC
社内市民開発と違い、個人事業主の環境づくりは「見せる・貯める・試す」の3役をひとりで回すことになります。 鍵はすべての成果物を GitHub に集約し、用途に応じて公開範囲だけを切り替えること。 サーバー管理ゼロ・月額ほぼゼロで、信用につながる環境を作る方法をまとめます。
同じ「GitHub + 自動デプロイ」でも、守るものと見せるものが逆転します。この違いが構成の選び方を決めます。
すべての案件・資料・PoCをGitHubのリポジトリとして管理し、「誰に見せるか」で3つの出口に振り分けます。
FIG. 1 — 個人事業の全体構成(公開範囲で出口を切り替える)
設計思想:案件・資料・作品はぜんぶ「リポジトリ」という同じ形で貯まっていくので、やった仕事がそのまま資産化します。公開したくなったらリポジトリを出口①につなぎ替えるだけ。ポートフォリオの「ネタ切れ」が起きません。
3つの出口を、それぞれもう一段具体的に。すべて固定費ゼロ〜数百円/月で運用できます。
静的サイト + 独自ドメインが鉄板。GitHub Pages か Cloudflare Pages にリポジトリをつなげば、push のたびに自動更新される作品集サイトになります。どちらも無料で、Cloudflare Pages は商用サイトでも無料枠で使えるのが強みです。
独自ドメイン(年1,000〜2,000円程度)は唯一かけるべきお金。「〜.github.io」より屋号ドメインの方が、名刺・提案書・請求書に載せたときの信用がまるで違います。既存ブログのサブドメイン(portfolio.○○.com)運用も相性◎。
DIAGRAM U1 — STATIC + CUSTOM DOMAIN
非公開リポジトリを「第二の脳」にする。研修資料・設計テンプレ・トラブル対応メモ・学習ノート(HTML学習ノートのような成果物)を Markdown/HTML でリポジトリに貯めます。Git 管理なので版の履歴が全部残り、AIに読ませて「過去の自分の資料から回答させる」使い方もできます。
ブラウザで読みたくなったら、MkDocs や Astro で静的サイト化して Cloudflare Pages + Access(自分のメールだけ許可)で公開。「どこからでも読めるのに、自分にしか見えない」社内Wikiの個人版が無料枠内で作れます。
DIAGRAM U2 — PRIVATE KNOWLEDGE BASE
「URLを送るだけで、相手の担当者だけが見られる」状態を作るのがゴール。市民開発と同じ「要件定義書・構成図・UIモックの3点セット」を Cloudflare Pages に置き、Access でクライアントのメールアドレスを許可リストに登録。相手はメールに届くワンタイムコードを入れるだけで閲覧でき、アカウント作成もVPNも不要なので先方に負担をかけません。
バックエンドが必要な動くPoC(API・DB連携)は Cloud Run へ。アクセスがない時間はゼロまで縮むので、デモが終われば課金もほぼ止まるのが個人事業に最適です。案件終了時はリポジトリごとアーカイブすれば、そのまま実績の記録になります。
DIAGRAM U3 — PER-CLIENT ISOLATION
個人事業の鉄則は「売上が立つ前の固定費を作らない」。この構成なら、確実にかかるのはドメイン代だけです。
| 項目 | サービス | 目安費用 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 独自ドメイン | Cloudflare Registrar 等 | 年1,000〜2,000円程度 | 唯一の必須コスト。信用への投資原価販売のレジストラだと更新料が安定 |
| ポートフォリオ公開 | GitHub Pages / Cloudflare Pages | 0円 | 商用可否の規約はサービスごとに確認Cloudflare Pages は商用でも無料枠で利用しやすい |
| 限定公開(門番) | Cloudflare Access | 0円(無料枠) | 50ユーザーまで無料枠あり個人事業のクライアント数なら十分 |
| 動くPoC | Cloud Run | 0円〜数百円/月 | スケールtoゼロで待機費用なしデモ期間だけ課金が発生するイメージ |
| コード・資料管理 | GitHub(Freeプラン) | 0円 | 非公開リポジトリも無料で作り放題 |
社内開発と違い、守ってくれる情シスはいません。この3つだけは自分ルールとして固定しておきましょう。
クライアントの実データは預からないのが基本PoC段階はダミーデータで作り、実データ接続は契約とNDAを結んでから。預かる場合も保存場所(クラウドのリージョン・アクセス権)を契約書レベルで明文化しておくと、後のトラブルを防げます。
アカウントと環境を本業と完全分離GitHubアカウント・クラウドの請求先・メールアドレスは事業専用のものを用意。会社の端末・アカウントで個人事業の作業をしないのは、リスク管理としても信頼としても必須ラインです。
ポートフォリオ掲載はNDAの範囲を確認してから案件の成果を載せたい時は「社名を出してよいか」「画面を出してよいか」を都度確認。NGなら業種・課題・効果の数字だけを抽象化して掲載すれば、実績としての説得力は十分保てます。